オー・ド・ヴィー その参 神様が教えてくれた酒
前回は“悪魔に注ぐ酒”をテーマに話しました
“悪魔”と“酒”の関係も楽しいですが、そればっかりではちょっと気が滅入ってしまいますね
ということで、第三回の今回は“神様が教えてくれた酒”についてちょっと話します
『spirits/スピリッツ』ということば、耳にしたことがあるでしょうか
『スピリッツ』とは一言でいうと“蒸留酒”のことです
水は100℃で沸騰・気化しますね
アルコールはそれよりも低い温度で気化します
『スピリッツ』は概ねこの気化の際の温度差を利用し、原料からより純度の高いアルコール分を抽出してつくります
ウィスキーもブランデーも焼酎も『スピリッツ』です
その他にも近年『四大スピリッツ』と呼ばれるものがあります
よくご存知の、ジン・ウォッカ・ラム・テキーラです
今回は勉強になりますね
ではもうちょっとお勉強
ジンは穀物を蒸留した液に杜松の実を漬け込んだもの
元々はオランダの医者が利尿・解熱等の特効薬として考案しました
そう、医者がつくったお酒なんです
ラムの原料はサトウキビ
テキーラの原料はサボテンの一種の竜舌蘭(リュウゼツラン)です
ここでquestion
なんで竜舌蘭なんか蒸留するようになったのでしょう
そこにはやっぱり嘘か真かイカした伝説があるんです
18世紀の半ばころ/メキシコ・ハリスコ州
当時のメキシコはスペインの統治下にあったこともあり、人々は貧しく厳しい生活を強いられていた
ある夜、テキーラ村に近いアマチタリャの地で落雷による大きな山火事があった
ただでさえ苦しい日々の中、人々は天の神に失望した
数日続いた山火事もすべてを焼き尽くしおさまった
遠くまで広がる焼け跡
村人がおそるおそる焼け跡を歩くと、黒こげになった竜舌蘭が転がっていた
あたり一面に芳香が漂うのを不思議に思った村人が竜舌蘭をつぶしてみると、中からチョコレート色の汁が滲み出した
そしてそれをなめてみると上品な甘さがあったという
竜舌蘭の株が山火事の熱で糖質に変化したのだろう
こうしてテキーラの村人は竜舌蘭の旨みに気づき、蒸留酒にするアイデアにたどり着く
神様も意地悪だね
素直に教えることができないなんてね
いまではテキーラは全世界に浸透し、メキシコの象徴的存在になってます
苦しみの後に訪れるよろこびの方が
より大きなよろこびになることがある
テキーラで乾杯するときに
そんな神の教えを思い出してもいいかもね
エラドゥーラ・ゴールドを飲みながら