表参道bar & curry noi(バーアンドカリーノイ):Blog

元“出張バーテンダー”・現“ギネス番長”のお酒Blog

Archive for the 'B) オー・ド・ヴィー ~お酒に関するコラ' Category

オー・ド・ヴィー その七 祝いの酒

一日遅れましたが昨夜はXmas
こんなときくらいはちょっとバブリーなお酒の話をしましょうかね

祝いのお酒と聞いて真っ先に思い浮かぶのは“シャンパン”とか“ドンペリ”とかそのあたりでしょうか
もうすっかり定着していますね

まず一つ質問
『シャンパン』と『スパークリングワイン』の違いはどんなものか???

《シャンパン≠スパークリングワイン》です
このことをよく勘違いしている人がいますね

店に来たお客さんとたまにこんなやりとりがあります
「すいません、シャンパンをグラスでください」
……申し訳ありません、当店はシャンパンおいていないんですよ
「えっ、だってメニューに載ってるじゃないですか」
……いえ、こちらはスパークリングワインですので、シャンパンではないのです
「???????」

炭酸の入ったワインを『シャンパン』と呼ぶと思っているんですね

炭酸の入った発泡性のワインの総称は『スパークリングワイン』です
『スパークリングワイン』にもいくつか種類があって、そのうちの一つが『シャンパン』なのです

正確に言うと、フランスのシャンパーニュ地方産のシャンパーニュ方式で製造された発泡ワインが『シャンパン』です

通常は密閉タンクの中で一斉に酵母・糖分を加え、再発酵→発泡させ、瓶詰めします
それを少し手間をかけて白ワインを瓶詰めした後にボトル内で一つ一つ再発酵させ、決め細やかな泡をつくる
これが「シャンパーニュ方式」です
ちなみにスペインのカタルーニャ地方産のシャンパーニュ方式発泡ワインは『カヴァ』と呼ばれます

一時期、シャンパーニュ方式で造られた発泡ワインのボトルにはそのことを誇らしげに謳っていましたが、それでは消費者がそれを『シャンパン』と間違えてしまいやすいので、現在EUでは<methode champenoise>と表示するのを禁止しています

ええと
このシャンパンの中で高級品とされるのがご存知、“ドン・ペリニヨン(ドンペリ)”
なんか過剰で楽しくなくてあまり好きではないのですが、こんな話を聞くとちょっと見直します

300年以上前に遡ります
“ドン・ペリニヨン(本名:ピエール・ペリニヨン)”とは実は人の名前で
彼は修道僧、1668年マルヌ渓谷にあるオーヴィエール修道院の酒倉庫係に任命されました

ある日彼が酒蔵を見回っていると、ポーンという音が聞こえてきました
寒さで発酵が止まっていたワインが、春になって気温が上がった為ボトルの中で再発酵し、溜まった炭酸ガスがコルクを吹き飛ばしたのだ
シャンパーニュ地方はパリ北東部の寒冷地に位置し、アルコール度の低い劣悪なワインしかできなかった
常々頭を悩ませていたペリニヨンはこの偶然の発見をヒントに工夫を重ね、シャンパーニュ方式を作り上げました
彼は『シャンパーニュの父』として敬愛され、やがて彼と彼の生んだシャンパンは尊称・donをつけて“ドン・ペリニヨン”と呼ばれるようになった

グラス一杯のスパークリングワインには2億もの泡が浮かぶといいます
のぼっては消える無数の泡と共にこんなことを思いながらゆっくり楽しむシャンパンもいいかもね

ヴェルヴェーヌ・ヴェレを飲みながら

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オー・ド・ヴィー その六 COCKTAILの話

久々なんで
カクテルの話でもしましょうか

まずは酒場で使えるネタとしてカクテルの名前の由来をいくつか

「スクリュードライバー」
スクリュードライバーとは“ネジ回し”のこと。テキサスの油田の労働者たちが労働後に渇いた喉を潤す酒が欲しくなって、ウォッカをそのままじゃ強過ぎるからオレンジジュースでも混ぜようかってなって。でもかき混ぜるものがないから、“いいや、こいつで混ぜちまおう”と腰にさしていたネジ回しで混ぜて飲んだことからこの名がついたという。……ちょっときたないね。

「モスコミュール」
モスコは“モスクワ”、ミュールは“ラバ(馬の一種。ロバみたいなものね)”のこと。ベースにロシアのスピリッツのウォッカを使用しているってこと。また飲み口が爽やかでゴクゴク飲めちゃうんだけど、そうすると知らぬ間にがくっと酔っ払ってしまう。ラバの後ろ脚みたいにキック力があるカクテルだということでこの名がついたという。

「XYZ」
XYZは、アルファベットの終わり。すなわち“最後のカクテル”という意味。これ以上のものはない、最高のカクテルだっていう考案者の自信からこの名がつけられた。

「マルガリータ」
LAのバーテンダーが考案。USAナショナル・カクテル・コンテストで入選したカクテル。マルガリータは考案者の若き日の恋人の名前。2人で狩猟に行った際に、彼女は流れ弾にあたって亡くなってしまった。その彼女を偲んで作られたカクテルといわれている。

「ソルティドッグ」
ソルティドッグとは、英国のスラングで船の“甲板員”のこと。潮風や波浪を浴びながら甲板上で仕事をすることから“塩辛い野郎”と呼ばれるようになった。“塩辛い犬”が語源ではないので気をつけて。

「ゴッドファーザー」
映画の『ゴッドファーザー』にちなんで考案。映画はアメリカのイタリア人社会を描いているが、イタリアのリキュール・アマレットを使用している。イタリアの家族愛がつまったカクテルといわれている。

まあカクテル名の由来は結構いい加減なもので、たいていいくつか説があってどれが正しいものかはわかりません
ちなみにカクテルはレシピもいい加減なんで、店によって全然違います
特にひどいが
マティーニ
シンガポールスリング
ホットワイン
あとカミカゼも店によって違うかな

もし気に入った酒場を見つけて、その酒場の伝統やこだわりに触れてみたくなったら
ここらへんのカクテルをオーダーしてみてるのもいいかもね

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オー・ド・ヴィー その五 酒場のこぼれ話

「最近さぼってるね」っていろんなひとに言われたので
久々に書きます

ただのお酒の種類についてだけのコラムならそこらへんの本でも読めてつまらないので
今回はこんな酒場のこぼれ話

一般的なイメージとして定着していますが
“バーテンダーは本当に聞き上手??”なんでしょうか

そのことを考えるのに、一つヒントになる格言があります

「バーテンダーたる者は毎日必ず新聞を熟読すべし。
万が一その時間が取れない日は天気予報だけでも確認すべきである」

これは<バーテンダーズ・マニュアル>にも記載されることがあります
要はカウンターでお客様を相手にする際に、常に新鮮な話のネタを持っておきなさいということ
そして天気についての会話は職種や人種などを問わず、広く通用する会話のネタだということです

ここに“バーテンダー”という職業的な弱点が見えますね

“バーテンダー”は生活のほとんどを自分のお店で過ごします
勤務時間帯は夕方から深夜にかけて
もし近くにおもしろいお店を発見したのなら、「この前こんなお店をね……」ってなかんじで話を切り出せるでしょう
例えばライブに足を運んだ直後なら、音楽好きのお客さんとその話で盛り上がれることでしょう
しかしそんなチャンスには恵まれない
だから多くのバーテンダーはどこかから話のネタを仕入れる必要があるんですね

本題に戻りますが
“バーテンダーは聞き上手?”
一般的にそう言えるでしょう
でもそれは必要に迫られての技(業)かもしれません

あるお客さんが実際に遭遇した体験話を聞き出す
それを別の機会に別のお客さんに話をする
自分なりにアレンジして、あたかも自分が見たことのように話をする

嘘つきですね
そういう意味ではバーテンダーは“パクリ屋”ですね

でもだからこそ素敵な話が集まり
また新しく語り継がれるのです

もしよくいく酒場があって
そこにお気に入りのバーテンダーがいたのなら
そのバーテンダーにいっぱいおもしろい話をしてあげてください
それは彼の実となり、バーテンダーとして成長していくのです

もし自分が以前した話をバーテンダーが別のお客さんにえらそうに話をする場面に遭遇したら
気づかぬ振りをしてあげてください
そして隠れてこっそり笑い、目の前のグラスを口にして笑みがバレないようにこらえてくださいな

シャルトリューズ・ヴェール VEPを飲みながら

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オー・ド・ヴィー その四 からだに効く酒

今週のトモトモは「ハーブリキュール特集」
マニアセレクトな夜です

そんなわけで
なんでボクがハーブリキュールにハマるようになったか

いま思うと、こんな話を聞いたから
そういうことなのかもしれません

カウンターでの話
名前も顔もルックスもあまりよくおぼえてない
でも頭にしっかり残ってる

彼はひとりで
一杯グラスを空けたあたりから口を開きだした

今夜は飲みたいそうだ

なにか痛いことがあったという
なにがあったかはあまりよくおぼえてない

彼はスピリッツをストレートで注文する
ボクはチェイサーを添えてグラスを出す

ちょっと不思議なのは
彼はスピリッツの合間にシャルトリューズ・ヴェールのトニックupを注文する
めずらしいオーダーの仕方だったんでよくおぼえている

彼の話をつなげると
数年前、人生でいちばん大きくつらいことがあった
心が負けて死んでしまい、本当に死んでしまおうかと思ったほどだったという
彼は多くのグラスを空けて、考えるのをやめた
息を止めて、そして目を閉じた

数十秒後
苦しくって口を開けた

心は負けて諦めてしまったけど
からだがダメだって止めた
救ってくれた

“今日は心が死にかけていて、そいつをなぐさめる為に酒を飲む
でも同じにからだも労る為に飲む酒も忘れないようにしている”
そしてそんなようなことを言っていた

ただつよく酔う為だけじゃなく
すてきなお酒だね

シャルトリューズ・EVEを飲みながら

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オー・ド・ヴィー その参 神様が教えてくれた酒

前回は“悪魔に注ぐ酒”をテーマに話しました
“悪魔”と“酒”の関係も楽しいですが、そればっかりではちょっと気が滅入ってしまいますね

ということで、第三回の今回は“神様が教えてくれた酒”についてちょっと話します

『spirits/スピリッツ』ということば、耳にしたことがあるでしょうか
『スピリッツ』とは一言でいうと“蒸留酒”のことです

水は100℃で沸騰・気化しますね
アルコールはそれよりも低い温度で気化します
『スピリッツ』は概ねこの気化の際の温度差を利用し、原料からより純度の高いアルコール分を抽出してつくります

ウィスキーもブランデーも焼酎も『スピリッツ』です
その他にも近年『四大スピリッツ』と呼ばれるものがあります
よくご存知の、ジン・ウォッカ・ラム・テキーラです

今回は勉強になりますね
ではもうちょっとお勉強

ジンは穀物を蒸留した液に杜松の実を漬け込んだもの
元々はオランダの医者が利尿・解熱等の特効薬として考案しました
そう、医者がつくったお酒なんです

ラムの原料はサトウキビ
テキーラの原料はサボテンの一種の竜舌蘭(リュウゼツラン)です

ここでquestion
なんで竜舌蘭なんか蒸留するようになったのでしょう
そこにはやっぱり嘘か真かイカした伝説があるんです

18世紀の半ばころ/メキシコ・ハリスコ州

当時のメキシコはスペインの統治下にあったこともあり、人々は貧しく厳しい生活を強いられていた
ある夜、テキーラ村に近いアマチタリャの地で落雷による大きな山火事があった
ただでさえ苦しい日々の中、人々は天の神に失望した

数日続いた山火事もすべてを焼き尽くしおさまった
遠くまで広がる焼け跡
村人がおそるおそる焼け跡を歩くと、黒こげになった竜舌蘭が転がっていた
あたり一面に芳香が漂うのを不思議に思った村人が竜舌蘭をつぶしてみると、中からチョコレート色の汁が滲み出した
そしてそれをなめてみると上品な甘さがあったという
竜舌蘭の株が山火事の熱で糖質に変化したのだろう
こうしてテキーラの村人は竜舌蘭の旨みに気づき、蒸留酒にするアイデアにたどり着く

神様も意地悪だね
素直に教えることができないなんてね

いまではテキーラは全世界に浸透し、メキシコの象徴的存在になってます

苦しみの後に訪れるよろこびの方が
より大きなよろこびになることがある

テキーラで乾杯するときに
そんな神の教えを思い出してもいいかもね

エラドゥーラ・ゴールドを飲みながら

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オー・ド・ヴィー その弐 ~悪魔に出すお酒~

蒸しっと暑い、そんな夜が続いていますが
麦酒(Beer)が気持ちいいですね
ついつい飲み過ぎたりしてませんか??

今回は、お酒と物語について

お酒が登場する物語はそれこそ世界中で無数にありますが
飲み過ぎて後悔してしまう夜にこんなstoryはいかがでしょう

ロシアの文豪・トルストイの寓話です

*      *      *

山の小屋にひとり、生真面目で貧乏な百姓がいた
ある日、小悪魔がパンきれを盗んで百姓を怒らせ、悪の道に引き入れようと画策した
木の上に隠れ、パンを盗まれたことに気づいた百姓が腹を立てて悪魔を呼ぶのをじっと待っていた
しかし百姓は「腹を減らした奴が取ったんだろう」とあっさり諦め、怒ることなく耕作に励んだ
小悪魔は地団駄を踏んで悔しがり、そして、大悪魔からひどくしかられてしまった

その後、小悪魔は名誉挽回の作戦にでた
まず小悪魔は百姓に取り入り、豊沃な土地を与え、豊作にする方法を教えてやった
数年後、穀物がたっぷり実ると、今度は麦をつぶして酒を醸すことを百姓に教えた
百姓は酒を造ると、仲間を集めて酒を振舞った
最初のうちはみんな百姓に感謝をし、百姓もいつも通りの笑顔でもてなした
しかし酒を飲むうちに、この豊沃な土地の取り合いの口論がはじまった
彼らは狐のように狡猾になり、狼のように怒りっぽくなり、ついには豚のようにごろごろ転がって眠ってしまった

その様をみた大悪魔は驚いて、小悪魔を自らの元に呼びつけた
「おまえはいったいどんな手を使ったんだ
あれだけ無欲だった男がいまや強欲にかられて何度も悪魔を呼んでいる ではないか……」
小悪魔は答えた
「何も特別なことはしていません
悪魔は元々あの男の中にもいて、私はその悪魔を呼び起こすため、ほんの少し手助けをしただけです」

こうして小悪魔は、生真面目で貧乏な百姓を堕落させることができたのです

*      *      *

ぼくらバーテンダーはアルコールの力で悪魔を呼ぶことができる

でもどうせ呼ぶのなら
悪魔なんかではなく、みんなの奥にあるHappyな心を呼び起こしたいね

ルフィーノ・モドゥス2002を飲みながら

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オー・ド・ヴィー その壱

お酒のこぼれ話なんかしてみたいと思います
けっこうお酒の席で使える話なんで、気楽に読んでみてくださいな

※題名の「オー・ド・ヴィー」についてはいずれ語ります
こいつについてはいろいろ話さなくてはならないので

第一回は
“ブランデー”のお話
そして“フランス”のお話

“ブランデー”とはまあ簡単に言うと
ワインなどのフルーツを原料とした醸造酒を蒸留したお酒、です

“ブランデー”に関して、よく『ナポレオン』という言葉を耳にすると思いますが
『ナポレオン』は実は“ブランデー”のランクの呼称なんです

“ブランデー”は蒸留酒なんで、
おおむね熟成の進んだものがよりよい酒だとされます
他にも呼称はいくつかあるんだけど、例えばこんなものがあります

(ランクの低いものから)
『V.O.』  ……Very Old
『V.S.O.P』 ……Very Superior Old Pale
『X.O.』 ……Extra Old     などなど

『ナポレオン』は『X.O.』と同等かそれ以上のランクの“ブランデー”を表します
間違ってもBarで「ナポレオンをロックでください」とは言わないようにしましょう
焼肉屋で「特上ください」って言っているようなもんです

話はそれましたが、
じゃあ何で上質な“ブランデー”を『ナポレオン』と呼ぶようになったのでしょう

やっぱりお酒の世界なので
嘘か真か、イカした伝説があるんです

フランス
時は19世紀
当時の権力のあった祈祷師は口にした
明くる年は前代未聞の荒天候に見舞われ、
大不作、そして多くの人々が死を迎えると予言した
瞬く間にその言葉は国中に広まり
国民は不安で震え上がった

しかし、新しい年がやってきて
記憶にないようなすばらしい天候の日々が続いた
その年の葡萄は大豊作
最高級の“ブランデー”がいくつも誕生し
そして同年
この地に将軍・ナポレオン=ボナパルトが生を受けた
いつしか人々は出来のいい最高級の“ブランデー”を『ナポレオン』と呼ぶようになった

嘘か真かは知らないけれど
その国を愛し
その国の酒を愛するイカしたstoryだね

みんなは人生でいちばんのよろこびの瞬間にどんなお酒を飲むんだろう

BOULARD GRAND SOLAGE Calvados X.O.を飲みながら

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