表参道bar & curry noi(バーアンドカリーノイ):Blog

元“出張バーテンダー”・現“ギネス番長”のお酒Blog

Archive for the 'D) 物語とCOCKTAIL' Category

光る石

さてさて
明日はSt.Valentine’s Day

以前このブログでも紹介しましたが、【Bar noi】では各バーテンダーが新作のオリジナルカクテルを提供しています
ボクもバレンタインカクテルを二つ考えました
そのうちの『BABY DIAMOND』というグラスはこんな話storyが基で生まれたものでした

         *               *              *

まずは“diamond(ダイヤモンド)”のお話
天然のダイヤモンドの結晶が生まれる条件というのは「長時間」に渡って「高温」「高圧」の環境下にあることだといいます
この世界でそんな環境に出会う為には、地球の核に近づき
地下100kmとも120kmともいわれる地中深くまで旅しなくてはなりません

ダイヤの原石を掘り当てる
当然そんな地中深く奥深くまで掘って潜るわけにはいかないので
マグマの活動などによって奇跡的に生まれた原石が手の届くところまで上がってくる、その時を狙う
神さまの力を借りなくてはならないみたいです

片や“流れ星”の話
流れ星は寿命が尽きて空から落ちる星だと信じられてきました
地球に降ってくる隕石はその燃えカスのかけら
やがて地中に埋もれてしますでしょう

長い、長い時間かけて地中に沈んでいき
もっと長い、長い時間かけて地中のさらに奥底深くまで
やがてさらに長い、長い時間高温・高圧にさらされ、化学反応の末にダイヤの原石に生まれ変わり
そして何かに引き寄せられるように、空へと
その一歩手前の足元のすぐそこで一休み

『BABY DIAMOND』
ダイヤになる前のかすかな光を集めてグラスに注ぎました
もしもその光がすべてなくなってしまったら
また新しい星が生まれているかもしれませんね

babydaia.jpg

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真夜中の虹

『真夜中の虹』

奇妙なタイトルですが、またあるオリジナルカクテルの名前です
不思議で見たことのない色と味と香りのグラスですが、こんな話を基につくりました

           *               *              *

虹のはなし
ボクらはどこか神秘的で美しく、そしてもっと長い間見ていたいと思ったりしているのだけれど
実は虹自身はすごくコンプレックスを抱いているという

カラダはしましまで変な色
存在感もない
たとえば太陽のように、光でもってみんなをあっためることもできないし
たとえば星のように、みんなに願いをかけられることもない

日に日に落ち込んでさらに細くなり
とうとう虹は空に身を隠してしまった

朝、日が昇ると身を隠し
夜、まっ暗になるとこっそり休んで眠りにつく

そんな繰り返し

たまに雨降りで空が暗くなると、虹は夜になったと勘違いし、眠りにつく
やがて雲がきりえて明るくなると、虹は目を覚まし、あわててまた身を隠す

だから虹は雨上がりの空に現れて
そしてすぐに消えてしまう

ということはよく注意していると、真夜中の空に虹を見つけることができるだろう

           *               *              *

さてさて
こんな寓話とともに
こんなグラスを

midnight.jpg

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命がけのナンパ師

『蛍(ほたる)』

Bar noiでも人気のオリジナルカクテルの名前ですが
“蛍”ってすっごくfunkyで憎めない奴で、けっこう好きです

蛍に関する寓話もありますが、まずはちょっとまめ知識

蛍が光るのは求愛のサインなんです
まず雄ホタルが独自のリズムで光ったり消えたりして雌ホタルにアピールする
その時雌ホタルは葉の陰とかに隠れて観察しているんですが、気に入った雄の光を見つけたら、雌は姿を現し、隣りについてそのリズムを真似して光ったり消えたりします
これが「OKよ」のサイン
カップル誕生です
交尾して、その後卵を産みます

ちなみに蛍は体力は余りなく、一度のアピールタイムは数十秒が限界
告白が失敗したら、数時間休憩し、場所を換えたりして再トライ
アピールするとき以外は葉などに止まって極力体力消耗を抑えてます
じーっと何もしません
それでも、一晩に三度くらいまでしか光ったりできないんです

あとあと
蛍って普通に生活していれば寿命は成虫になってから2週間くらいあります
でも光をつくるとひどく消耗するんで、3~5日くらいしか生きれなくなります
まさに命がけ(笑)
身を削ってます

しかも幼虫の頃は「獰猛な肉食獣」と呼ばれるくらい他の虫を食い荒らしますが、成虫になると水しか飲みません
食べることすら忘れてナンパ・ナンパです

すごいですね
本物ですね

なんでこんなんなっちゃったかというと
蛍に関する二つの寓話があります

東から来た寓話は「むかし蛍は悪魔の手下だった」っていうもの
実際に忌み嫌われていたこともよくあったみたいで、おあばちゃんとか昔の人は今でも蛍を嫌ってる人もいたりするし、お墓に蛍が現れてってな物語もたまにありますね
あるとき、蛍はおどろおどろしたものが嫌になりました
悪魔から足を洗うことを決めました
そしたら大悪魔は怒って、見せしめに蛍から全てを取り上げました
言葉も、音も、食欲さえも
全てを奪い、悪魔が満足して去った後、かわいそうな蛍に神様は近づき、「一つだけ欲しいものをやろう」って約束しました
そしたら蛍は“恋”と答える
“恋がしたい”って口にしました
そして神様は言葉も音もなくても恋ができるように蛍に光を与えました、とさ

片や西からの寓話はちょっと違って
蛍は悪魔の仲間なんかじゃなかったっていいます
昔から蛍は、蛹から孵って大人になると恋ばかりしていました
少しも働きもせず、それこそ食べ物を口にすることなく水だけを飲んで恋ばっかり
怒った神様は蛍から全てを取り上げました
音も言葉も
それでも蛍は恋を諦めませんでした
神様にバレないように光で暗号にして求愛
もうそれは呆れるくらい……
結局神様も何も言えなくなって、蛍はまた夏が来ると恋ばっかりしているのでした

ほんとスケベな虫ですね(笑
“恋する為に生まれてきた”とはまさにこのことですね

かなりfunky
ホント尊敬しちゃいますね

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クジラの泪

今度焼酎『くじらのボトル』(芋・大海酒造)を仕入れようかと思ってますが、こんな寓話からそんな気分になりました
寓話けっこう好きなんだよね
新年初めにpeaceを心に浮かべるのもいいかなと思いました

*      *       *       *

『クジラの泪』

このplanetでいちばん大きい動物のはなし
あまり知られていないこと
クジラはこのplanetでいちばん心がやさしくて、いちばんからだが大きな
動物だってこと

長い長い
ずっと遠くの昔
まだクジラがただの心のやさしい動物だったころ

二つのからだのかたちの異なる動物がけんかをはじめた
クジラのオリジナルは心を痛め、間に入って説得するが、けんかをやめようとしない
二人はとても臆病だからけんかはさらに進み
お互いを傷つけ合って続いた
クジラのオリジナルは少しはなれたところからそのさまを眺め
心をひどく痛めて泪を流すだけだった
無力を思った
そしてこのような臆病ものの争いがいつかこの星の世界中で起こることを真剣に心配した
クジラのオリジナルは泪の顔で、このけんかを食い止める最終手段を請け負うことを心に決めた

しかし
自分もいつかは死んで無くなってしまうだろう
子から子へと語り継ぎ
それでも平和で盲目的なときの流れが続いたら
やがてこの使命をどこかで忘れてしまうだろう
そう思うとまた一粒、大きな泪がこぼれた
その下にはいつの間にかちいさな水たまりができていた
水たまりを見て、クジラのオリジナルはもうひとつの決断をした
「大きく、もっとずっと大きくなろう」
心に決めた

クジラはずっとそれだけを考えた
大きく、もっと大きく
何代も何十代もかけて
もっと、もっと大きく
あるときクジラは大きくなり過ぎて重力にカラダを支えきれなくなり、海へと入った
そしてもっと、もっと、もっと大きく

やがてクジラはこのplanetでダントツにいちばん大きい動物になった
いつかクジラの目に臆病ものの争いが見えたとき
そこから世界最大の泪が自然とこぼれるだろう
後から後から泪が続き
世界中で争いが起これば、世界中にクジラの泪があふれ
海のかさが増えて上昇し、すべての陸地を覆うだろう
この最終手段
クジラの使命
長い長いときが過ぎれば
クジラの泪も絶えて蒸発し、陸地には新しい動物が現れるかもしれない

……こんな話をきっかけにしながら
年のいちばん初めにpeaceを願う
こんなお酒の飲み方もね

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